太気拳・意拳は人拳

May 11th, 2012

中国武術には蛇拳・鶴拳・猿拳といったように、動物の動きからヒントを得て作られた流派が多くあります。
 
蛇には毒牙となめらかな動きが、
虎には鋭い牙と強靭な爪が、
熊には力強い前足と大きな体が、
猿には素早い動きがある。
 
ヒトよりもより速く、より力強い動物の動きを参考にすればよい、と先人が考えるのも無理からぬことです。
 
動物は厳しい自然界で生き残る為に、得意の武器を進化させてきました。
それが牙であり、爪であり、大きな体です。
 
ヒトの場合は、知能(脳)がそれにあたります。
脳を発達させ、そこで想像されたものを神経を介して手や口、全身で創造する。
 
このような想像力や意識、これが人間の武器。
 
王向斎の創始した意拳や王の外国人唯一の弟子である澤井健一の創始した太気拳は、その名の通り「意」や「気」、すなわち「思い」「イメージ」「意識」、そしてそれを伝達し表現する神経系を重視した武術です。
 
王向斎は形意拳や白鶴拳、その他多くの武術を学び、そこから形を廃し意拳を生み出しました。
 
形を廃しヒトの武器である「意」に焦点をあてた意拳・太気拳は、
 
「人拳」
 
なのかもしれません。