The training method which accords mind and body.
November 19th, 2011
太気拳には「揺(ゆり)」という稽古法があります。半身立ちになり、眼前で構えた手を押す・引くという動作です。
両手同時に(手を開いて)突きをするような感じですね。
このとき、数m先に仮想の1点(点A)を設定します。
その点Aから、体中の関節に対してゴムが伸びてつながっている状態をイメージ(設定)。
目線も動揺に点Aと結ぶ。
そしてその点Aから伸びたゴムを全身でひっぱる。
ひっぱるというと普通は腕だけに力が入りますが、全身のゴムをゆるめないよう、 全身をバランスよく引いてゆきます。 特定の筋肉だけが緊張しない、全身がバランスよく締まるような引き方。
身体の一部の力ではなく、全身の力を特定の目標に対して総動員させる動きを身体に覚えこませる。
この全身の協調によって手だけで引くよりも大きな力を生み出すことができます。
そして意識も。
イメージを用いるときは真剣に、他のことを考えるスキなど無いよう、引くこと だけに完全に集中します。
まとめると、目の前のA点から身体中につながれた仮想のゴムを引く。
1,全身の力をA点に集中させる(身体全体がA点を引く)
2,意識を雑念なくそのA点に集中させる(意識の焦点はA点)
このようにA点という仮想点を想定することにより、
身体-A点-意識
とA点を介して身体と意識が合致することになります。
動きの中で心身を統一させる稽古法です。
身体の各部を協調させること、その身体と意識を協調させること。
例えば今までの限界以上のバーベルに挑戦するとき、フォームは適当、今日の晩ご飯のことを考えながら、では絶対にあげることはできません。
目標に対して全意識と全身体が総動員される状態を作るということです。
太気拳は、突き方、蹴り方、という具体論の前に心身をつなげ、一致させるという稽古をするのです。
そしてその集中する目標(先ほどの例では点A)が、特定の点(目の前の敵など)ではな く自分を含めた環境全体であるとき、自由自在の境地になるのでは、と感じてい ます。