流水の如く
January 20th, 2025
川の流れに意思はなく、ただ重力に従い川下に流れます。
そこに小石があれば押し流します。
大きな石があればその脇を流れます。
水は、小さい石だから押し流してやろう、大きい石だから避けて通ろう、とは考えていません。
組手でも、このようにあれればと思います。
相手が自分よりも軽く力が弱いからプレッシャーを与えよう、相手の方が大きいから脚を使って動こう、と相手に合わせて変化することはしません。
いつも通り、自分の動きをやります。
ただ、相手が自分より軽ければまっすぐ押し出す形になることがあります。
相手が自分よりも重ければ、自分がするりとサイドに回る形になることがあります。
それを見た周りの人は、相手に合わせて変化した、と感じるかもしれません。
ですが、本人はそれを意図してやっていません。
犬同士の喧嘩で、振り上げられた相手の前脚に噛みつくのは攻撃なのか防御なのか分かりません。ただその時に応じた変化があるのみです。
太気拳では攻撃も防御も、同じ形で練ります。
意拳の王向斎先生は、弟子に「今の技をもう一度見せてください。」
と言われたとき「技はその瞬間に対応して出るもの、二度と同じ形は現れない。」と答えたそうです。
自然の摂理に沿ったはたらき。
何も特別なことではなく、普段の動きの中に垣間見えるものです。