怠惰の美徳
January 15th, 2025
「私は怠けものです。怠けものというよりは、どんな場合でも楽な姿勢をとりたい性質です。近頃そうなったのではなくて、生まれつきそうなのです。しかし楽な姿勢といっても、日向に寝そべっている猫のような、あんな無為は好きではありません。少年の頃見たことがあるのですが、風の吹く枝に逆さにぶら下がっている蝙蝠のような形。あんな形が好きです。また早瀬のなかで、流れにさからって静止している魚の形。あの蝙蝠や魚は、風や水を適当な刺戟として感じながら、自らの姿勢を保ち、且つ楽しんでいるに違いありません。いや、楽しんでいるかどうかは知らないが、あれが彼にとって一番楽な形であることは、確かなことでしょう。」
梅崎春生著「怠惰の美徳」
自然に無理なく従った形に美しさを感じます。
自分の勝手な思いで身体を動かすのではなく、自然の力に動かされるような、そんな動きを追求したいと思います。
自然の力の中でも、我々に最も強く作用しているのが重力。
重力と戦わず、従う。
太気拳は、重力をうまく利用するための体系といえます。
組手であれば、自分の中心を保ち続けることで相手が勝手にコケるような、そんなあり方が私は好きです。