剣と禅と勝海舟
April 24th, 2016
幕末の偉人、勝海舟。
その語録集が「氷川清話」として遺されています。
そのなかで、自分が人物を作り上げた根本は剣術と禅である、と述懐しています。
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本当に修行したのは剣術ばかりだ。
(中略)
この坐禅と剣術とがおれの土台となって、後年大層ためになった。
(幕府)瓦解の時分、万死の境を出入りして、ついに一生をまっとうしたのは、全くこの二つの功であった。
ある時分、沢山剣客やなんかにひやかされたが、いつも手取りにした。
この勇気と胆力とは、畢竟この二つに養われたのだ。
危難に際会して逃れられぬ場合と見たら、まず身命を捨ててかかった。
しかして不思議にも一度も死ななかった。
ここに精神上の一大作用が存在するのだ。
(このような文章もあります)
ひとたび勝たんとするに急なる、たちまち頭熱っし胸跳り、措置かえって顛倒し、進退度を失するの患を免れることはできない。
もしあるいは逃れて防御の地位に立たんと欲す、たちまち退縮の気を生じ来りて相手に乗ぜられる。
事、大小となくこの規則に支配せられるのだ。
おれはこの人間精神上の作用を悟了して、いつもまず勝敗の念を度外に置き、虚心坦懐、事変に処した。
それで小にして刺客、乱暴人の厄を免れ、大にして瓦解前後の難局に処してしゃくしゃくとして余地をたもった。
これ畢竟、剣術と禅学の二道より得来った賜物であった。
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剣術と座禅。
太気拳では拳術と立禅を通して高みを目指しています。